つまず)” の例文
あとをも見ずしていっさんに走り出ずれば、心急こころせくまま手水口の縁に横たわるむくろのひややかなるあしつまずきて、ずでんどうと庭前にわさきまろちぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私もまたその狂いの中に生れて育って来たあわれな一人の男性に過ぎない。私はつまずきどおしに跌いている。然し私の本能のかすかな声は私をそこから立ち上らせるに十分だ。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そのことばわらざるに、車は凸凹路でこぼこみちを踏みて、がたくりんとつまずきぬ。老夫おやじは横様に薙仆なぎたおされて、半ば禿げたる法然頭ほうねんあたまはどっさりと美人の膝にまくらせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)