賊子ぞくし)” の例文
いま、世はなお戦乱のむ日もないが、一人として、朝廷に対し奉って、大逆的な行為など振舞う賊子ぞくしはないのである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本安全のそのためには、小の虫を殺し大の虫を助け、敢て賊子ぞくしに堕ちようと思う。……どだい薩長と戦って、勝てると思うのが間違いだ。いかんともしがたいは大勢だ。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
足利殿は、また足利殿に加担の衆は、そこの根本の理にくろうござります。故に、彼等の戦は乱です。名は賊子ぞくしです。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の無残苛烈かれつな性格の一面をえぐり、また叡山えいざん焼打のこと、義昭追放の件、そのほか彼の覇道的はどうてきな猛進をもって、信長こそ道義の敵、文化の破壊者、制度と伝統をみだす国の賊子ぞくしであるとなして
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)