へつら)” の例文
紋「云っても宜しい、あれへつらい武士じゃ、佞言ねいげん甘くして蜜の如しで、神原あるいは寺島をお愛しなさるのは、勧める者が有るからじゃの、惣衞」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勘次は安次のへつらう容子を見るとまた不快になった。そのまま内庭へ這入って行って叺を下ろすと、流し元にいたお霜が嶮しい顔をして彼の傍へ寄って来た。
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
しかし、私は親の勝手な量見にへつらつたり、僞善的口吻こうふんを洩したり、または誤魔化ごまかしの後押しをしようと思つて書いてゐるのではない。私は、たゞ眞實を語らうとしてゐるのだ。
独立の思想なく、唯社会の潮勢につれて浮沈するが如き人物は、日本の国運を支ふるに於て何か有ん、心にいさゝかの平和なく、利奔名走、汲々として紅塵こうぢん埃裏あいりに没頭し、王公にび、鬼神にへつら
圖「いや/\彼はなか/\上へへつらって名を売って男になろうという卑劣な奴でない何うも彼奴あいつの魂には驚いた」
頭取下役とうどりしたやくという事に成りましたが、更にへつらいを致しませんが、堅い気象ゆえ、毎夜人知れず刀を差し、棒を提げてっと殿様のお居間の周囲まわりを三度ずつ不寝ねずに廻るという忠実なる事は
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)