諸肩もろかた)” の例文
忠志君の頭の上には、昔物語にある巨人の城郭の樣に、函館山がガッシリした諸肩もろかたに灰色の天を支へて、いと嚴そかに聳えて居る。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そのよそおいはとみれば、髪には垂鬘さげかつらをつけて紅白のくずの根がけを用い、打掛は、白無垢しろむく丸生絹まるすずし幸菱さいわいびしの浮織——それを諸肩もろかたからぬいで帯のあたりに腰袴のように巻いていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)