認印みとめ)” の例文
朝飯を済まして、書留だったらこれを出せと云って子供に認印みとめを預けて置いて、貸家捜しに出かけようとしている処へ、三百が、格子外から声かけた。
子をつれて (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
「お愛さん、貴方はもう御帰りなさい。保証人の方へ廻って、認印みとめを貰って行ったら可いでしょう」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
春のおさかなさわら、ひらめ、などと、ノートさせられて「今日午後六時の汽車にて帰す」と浜子が書き添え、認印みとめを押してよこした年少のころ、浜子の母人ははびとはホクホクして
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
……左の薬指に「槻田つきだ」と彫った巨大おおき認印みとめつきの指環ゆびわ一個……。
丑松は一々内部なかを好く改めて見て、蔵書の印がはりにして置いた自分の認印みとめを消して了つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
やがて自分の宿処と姓名とを先方さきの帳面へしたゝめてやつて、五十五銭を受取つた。念の為、蓮太郎の著したものだけを開けて見て、消して持つて来た瀬川といふ認印みとめのところを確めた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)