をは)” の例文
聴ゐる貫一は露のあしたの草の如く仰ぎず。語りをはれども猶仰ぎ視ず、如何いかにと問るるにも仰ぎ視ざるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
又仏の像を造ること既にをはりて、堂に入るることを得ず、諸々もろもろ工人たくみ計ることあたはず、まさに堂の戸をこぼたむとせり。然るに汝、戸をこぼたずして入るることを得つ。此れ皆汝がいさをしなり。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
「なあに、いと言ふのに」と聞きもをはらで彼は広間のかたでて行けり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ことばをはらざるに彼は傍腹ひばらに不意の肱突ひぢつきくらひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)