角帽かくぼう)” の例文
初子はつこ辰子たつことを載せた上野行うえのゆきの電車は、半面に春の夕日を帯びて、静に停留場ていりゅうばから動き出した。俊助しゅんすけはちょいと角帽かくぼうをとって、窓の内の吊皮つりかわにすがっている二人の女に会釈えしゃくをした。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
さっきから、そばでていた、角帽かくぼうかぶった学生がくせいらしい青年せいねんが、いいました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
救世軍きゅうせいぐんの路傍説教があり、きまってはいないが、紋附きに角帽かくぼうをかぶった三
日の光に、金色の三角帽かくぼうがきらきらとかがやき、五しき着物きものがにじのようにかがやきました。どう見ても、生きた人形が自分でおどってるのでして、コスモはただそれについてまわってるだけでした。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)