覗機関のぞきからくり)” の例文
甚句じんくを歌うものがある。詩を吟ずるものがある。覗機関のぞきからくりの口上を真似る。声色こわいろを遣う。そのうちに、鍋も瓶も次第にからになりそうになった。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
慶三はこれ屈強と、覗機関のぞきからくりでも見るように片目を押当てたが、するとたちまち声を立てる程にびっくりして慌忙あわてて口を蔽い
夏すがた (新字新仮名) / 永井荷風(著)
雨戸の隙間からの、この世のものとも見えぬ、恐ろしい覗機関のぞきからくりが、彼の目を膠着にかわづけにして離さなかったのだ。彼は殆ど夢と現実との見境がつかなくなってしまっていたのだ。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その他羽子板はごいた押絵おしえ飴細工あめざいく、菊人形、活人形いきにんぎょう覗機関のぞきからくり声色使こわいろつかいの雑技あり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
恐ろしき覗機関のぞきからくり
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)