見現みあらわ)” の例文
晩餐の饗応などとは彼れが柄に無き事と思い余は少し不気味ながらもたゞ彼れが本性を見現みあらわさんと思う一心にて其招きに応じ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
とうとうこいつの為に正体を見現みあらわされたかも知れない。だが、待てよ。こいつの握っているのはたかが一篇の小説じゃあないか。まだへこたれるには少し早いぞ。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そんな趣向で手中にはいると思うのかと、すぐに顕真術先生の胸中を見現みあらわしてしまった。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
変化へんげの正体を見現みあらわしたと許り、晩年、放送局であつたとき私が云ふと
吉原百人斬り (新字旧仮名) / 正岡容(著)
正体を見現みあらわされはしないかという心配などは、殆ど忘れた形で、彼が嘗て、人見廣介と名のる貧乏書生であったことは、その方が却て嘘の様な気さえするのでありました。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)