見極みき)” の例文
例のごしごし云う妙な音はとうとう見極みきわめる事ができないうちに病人は退院してしまったのである。そのうち自分も退院した。そうして、かの音に対する好奇の念はそれぎり消えてしまった。
変な音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
蒼白あおしろほおしまれるに、薄き化粧をほのかに浮かせるは、一重ひとえの底に、余れる何物かをかくせるがごとく、蔵せるものを見極みきわめんとあせる男はことごとくとりことなる。男はまばゆげになかば口元を動かした。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)