要諦ようたい)” の例文
「術ではなく、道であります故に。——すでに道である以上、聖賢せいけんのこころ、禅の要諦ようたい、経世の要義、その道のうちにあらぬはございません」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文化存在の理解の要諦ようたいは、事実としての具体性をそこなうことなくありのままの生ける形態において把握することである。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
学びつつ考え、考えつつ学ぶ、これが学問の要諦ようたいだ。ところでお前は、そのどちらもまだ十分でない。それも、結局、お前に敬しむ心がないからではないかね。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
それ故に、二元的関係を持続せしむること、すなわち可能性を可能性として擁護することは、媚態の本領であり、したがって「歓楽」の要諦ようたいである。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
自分の召し抱えている部下とはいえ、兵においては六韜りくとうの奥義から三略の要諦ようたいにいたるまで、ことごとくこれを半兵衛に就いて教えられたといってもよい。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それは明慧が、幾ヵ所も指摘しているが、最もちがうところは、吉水の教理では、念仏をもって往生の第一義としておるが、明慧は発菩提心ほつぼだいしんをもって仏者の要諦ようたいとしている」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)