こん)” の例文
浴しをはつて榛軒は犢鼻褌とくびこんを著け、跳躍して病人だまりの間を過ぎ、書斎に入つた。上原も亦主人に倣つて、こんを著け、跳躍して溜の間に入つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
折角の巨人、いたずらに、だだあ、がんまの娘をねろうて、鼻の下の長きことその脚のごとくならんとす。早地峰はやちねの高仙人、ねがわくはの葉のこんを緊一番せよ。
遠野の奇聞 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此の如くにして蘭軒は或は侯の病を診し、或は侯のために書を講じた。蘭軒は平生よりこんを著くることを嫌つた。そして久しく侯の前にあつて、時に衣の鬆開そうかいしたのをさとらずにゐた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)