補助たすけ)” の例文
そして自己おのれに出来るだけの補助たすけをする——人を救ふといふことは楽い事だ。今迄お利代を救ふものは自己おのれ一人であつた。然し今は然うでない!
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
わたしは恐れも、未練もなく、安心してこの世にいとまをつげます。お前が一人前の男になって、もう久しくわたしの補助たすけなしに生活しているのを見とどけたからです。
(新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
時々他国の書生や勤め人をおいたりなどして、妹夫婦が細い生活の補助たすけにしているその二階からは、町の活動写真のイルミネーションや、劇場の窓のあかりなどがく見えた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
選んだ夫の貧しい境遇に、安処して、妹の嫁入さきから所帯の補助たすけがえんじなかった。あの時、——橋で中よく遊んでいた男子おとこのこたち、かえって、その弟の方が、あねさんの子だったそうです。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
といふよりは、夫が非職の郡長上りか何かで、家が余りゆたかで無いところから、お柳の気褄きづまを取つては時々うして遣つて来て、その都度家計向うちむき補助たすけを得てゆくので。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
翌月、不意の補助たすけがあって、東京へ出ました。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)