衣裳鞄いしょうかばん)” の例文
そして、それを紛らすために衣裳鞄いしょうかばんからポーラルの単衣ひとえ単帯ひとえおびとを出して着替えたり、脱いだ衣裳を衣紋掛えもんかけに掛けたりしていると
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
衣裳鞄いしょうかばんを持たせられて後から這入って来た妙子の、近頃ことに張り切っている血色に比べると、汽車の疲れで、顔に著しいやつれを見せていた。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
出て来たお春に衣裳鞄いしょうかばんを渡すと、そのまま応接間へ這入はいって行ったが、家の中がひっそりしているけはいなので
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
おもむろに自分の衣裳鞄いしょうかばんを詰め、それが済むと、貞之助がまだ書斎の方で調べ物をしているので、姉と妹を掴まえて十二時過ぎまで応接間で話していたが、やがて妙子が
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
東京から持って来た衣裳鞄いしょうかばんを開けて、一番底の方に入れてあった畳紙たとうを出してひもを解いたが、何と、中から現れたのは、ちゃんとそのつもりで用意して来た花見の衣裳なのであった。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)