行為おこなひ)” の例文
旧字:行爲
深く注意した積りの自分の行為おこなひが、反つてひとに疑はれるやうなことに成らうとは——まあ、考へれば考へるほど用意が無さ過ぎた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
お前さんはモリエエルを領解して居るかい。お前さんの近頃の行為おこなひは、あれでモリエエル夫人としてはづかしくは無いかね
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
浮世の悲哀かなしみといふものを、智恵子は其時から知つた。間もなく母は病んだ。兄には善からぬ行為おこなひがあつた。智恵子は学校にも行けなかつた。教会に足を入れ初めたのは其頃で。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
だが口で云つても解らないだらう、行為おこなひに現して見せなければだめだ。親のためなら是非もない、もう三分眠つてやれ! と、両親のために、水火も厭はず……ムニヤムニヤ/\。
親孝行 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
仮令たとひ先方さきが親らしい行為おこなひをしない迄も、是迄これまで育てゝ貰つた恩義も有る。一旦蓮華寺の娘となつた以上は、奈何な辛いことがあらうと決して家へ帰るな。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
六左衛門のことは、其時、二人のうはさに上つた。蓮太郎はしきりに彼の穢多の性質や行為おこなひやらを問ひ尋ねる。聞かれた丑松とても委敷くはしくは無いが、知つて居るだけを話したのは斯うであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)