行文こうぶん)” の例文
うして書いた通信の枚数は沢山だが、それで少しも修正の必要なく、文体も立派で、時に気焔万丈きえんばんじょう行文こうぶんの妙を極むるのであった。
行文こうぶん暢達ちょうたつと、其れ等に依って生き生きと表現されて居る人間の肉欲生活の葛藤とにあるのだろうと思う。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
高遠なる理想を主とする著作時として全く架空の事件を綴るものあるが如しといへども、行文こうぶんうちおのずから作者の人間世間に対する観察の歴然として窺ふべきものあり。
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
行文こうぶんがまたすこぶる生彩に富んでいる。その中に夾竹桃が出て来る。