血煙ちけむり)” の例文
あとは出たら目な血煙ちけむり騒ぎ、暗やみじゃあるし、先じゃあっしを、金吾様だとばかり思っているので、よっぽど勝目がありましたよ
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
愛人「それは困りましたね。あなたをおとしいれる黒幕の主人公がはっきり分って居れば、僕はその人物をミシンで血煙ちけむりをたたせてやるのですがねえ」
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
黒鹿毛のひづめをあげて、三にかけちらしながら、はやくも鞍上あんじょうの高きところより、右に左に、戒刀かいとうをふるって血煙ちけむりをあげる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
血汐ちしおである、血煙ちけむりである。夕闇なのと、深い霧で、よくは分らないが、ぬるい血液のかたまりが、ぱッと、側の者へねかかった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悲痛ひつうな声が、血煙ちけむりのなかに残った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)