“蟄息”の読み方と例文
読み方割合
ちっそく100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
此の頃では深川六間堀ふかがわろっけんぼり蟄息ちっそく致して居ましたが、駿府すんぷから親族の者が出て来まして、金策が出来、商法の目的を附け、んな所へでも開店ようという事に成りましたので
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
昨夜ゆうべの雨に甲板デッキは流るるばかり濡れたれば、乗客の多分おおくは室内にこもりたりしが、やがて日光の雲間を漏れて、今は名残なごり無く乾きたるにぞ、蟄息ちっそくしたりし乗客は、先を争いて甲板デッキあらわれたる。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
下宿料が安いからかかる不景気なところにしばらく——じゃない、つまり在英中は始終しじゅう蟄息ちっそくしているのだ。その代り下町へは滅多めったに出ない。一週に一二度出るばかりだ。出るとなると厄介だ。
倫敦消息 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)