“藪木”の読み方と例文
読み方割合
やぶき100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
が、藪木やぶきの花のにおいのする春の月夜に包まれながら、だんだんこちらへやって来る笛の声に耳を傾けるのは、彼にとっても何となく、心憎い気のするものであった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
物静な春のは、藪木やぶきの花のかすかなにおいを柔かくもやに包んだまま、ここでもただふくろうの声が、ちょうど山その物の吐息といきのように、一天のまばらな星の光を時々曇らせているばかりであった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
藪木やぶきまじ針金雀花はりえにしだ、熊笹の中から飛び立つ雉子きぎす、それから深い谷川の水光りを乱すあゆの群、——彼はほとんど至る所に、仲間の若者たちの間には感じられない、安息と平和とを見出した。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)