藍摺あいずり)” の例文
そこには藍摺あいずり直垂ひたたれに、折烏帽子おりえぼしの、色の黒いやせた男が、じっと立っているのであった。その人こそ、奥方が夢にも忘れたことのない重衡であった。
それまで私は気がつきませんでしたが、その額の中には、浮世絵によく見る藍摺あいずりの鬼の絵が入れてありまして、場合が場合とて、その青い色をした鬼の顔が、一そう物凄く見えました。
印象 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
渓斎英泉は北斎を連想すべきその漫画と魚屋北渓ととやほくけいならひたる藍摺あいずりの支那画山水とまた広重に似たる名所絵並に花鳥によりて、西洋人の著書中には十九世紀中葉の浮世絵師中錚々そうそうたるものとなされたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
藍摺あいずりの直垂に立烏帽子で首の供をし、翌二十五日に斬られたのである。