蕪菜かぶな)” の例文
あるじがもてなしとて、いも蕪菜かぶなを味噌汁にしたるなかにいぶかしきものあり、案内がさし心えていふやう、そは秋山の名物の豆腐とうふ也といふ。豆をひく事はせしがかすこさざるゆゑあぢなし。
余念も無く蕪菜かぶなを洗ふ女の群の中に、手拭に日をけ、白い手をあらはし、甲斐々々かひ/″\しく働く襷掛たすきがけの一人——声を掛けて見ると、それがお妻で、丑松は斯の幼馴染の様子の変つたのに驚いてしまつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)