蔵主ぞうす)” の例文
「まあまあ、やがてはだんだんに、茶頭ちゃとう殿主でんす蔵主ぞうす監寺かんすなどの上職にも、修行次第でと申すもの。が、当座はひとまず菜園のほうで」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あまりの不憫ふびんさに無常を感じ、法体となって名を蔵主ぞうすと改めたと見しは夢、まことは野原の妖狐にあべこべに化かされて、酒菰さかごも古畳ふるだたみ袈裟けさころもだと思っていたという筋である。
仇討たれ戯作 (新字新仮名) / 林不忘(著)
妙恵の末子、頼尚には弟にあたる宗応蔵主ぞうすは、まだいと若い仏門の人だが、父にじゅんじて、おなじく自殺した。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところへ、騒ぎを聞きつけて、監寺かんす提点ていてん蔵主ぞうす浴主よくすなどの役僧などから、工事場の諸職まで、まっ黒になって様子を見にきた。たちまち門の番僧らと一つになって
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)