蓑毛みのげ)” の例文
伊豆のヒガネやまは日金と書いて、三島峠、弦巻山つるまきやま、十国峠と峰を重ね、みどりの雲は深からねど、冬は満山の枯尾花、虚空に立ったるいのしし見るよう、蓑毛みのげを乱してそびえたり。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その背部の蓑毛みのげを胸の方の房々の羽毛が逆に下から逆まきにかぶせているのは、ウソの身体の中で、一番颯爽さっそうとしているところだ。胸の羽毛はおさめた翼の風切かざきりの上へまでぱらぱらとかぶさる。
木彫ウソを作った時 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)