蒲鉾屋かまぼこや)” の例文
鯊の頭にはギョッとした。蒲鉾屋かまぼこやからでも買い出して来たのか。誰が買うのか。ダシにするのか。て食うのか。儂は泣きたくなった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
蒲鉾屋かまぼこやの新公や、下駄屋の幸次郎や、あの連中は今でも仲よく連れだって、煙草屋たばこやの柿内の二階で毎日々々芝居ごっこをして居るだろうか。
母を恋うる記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
各人各戸に拍子を取ってやったものとすれば、蒲鉾屋かまぼこや経師屋きょうじやの音から類推することはむずかしそうである。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
そして下大和橋のたもとの、落ちこんだように軒の低い小さな家では三色ういろを売っていて、その向いの蒲鉾屋かまぼこやでは、売れ残りの白い半平はんぺんが水に浮いていた。
アド・バルーン (新字新仮名) / 織田作之助(著)
洋燈ランプの燈は沈んでいた。そこは賢次の家の二階であった。賢次の家は蒲鉾屋かまぼこやであるからどことなしに魚のにおいが漂うていた。広巳と賢次はそこで話していた。二人の前にはビールのびんがあった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
昔のままの大きな蒲鉾屋かまぼこやがただ一軒そこに残っていたりなどした。
日本橋附近 (新字新仮名) / 田山花袋(著)