やく)” の例文
六本の雄蕊ゆうずいがあって、おのおのが花蓋片かがいへんの前に立っており、長い花糸かしの先にはブラブラと動くやくがあって、たくさんな花粉を出している。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
ウツボグサの紫花の四本の雄蕊は尖端がまたになっていて、その一方の叉にはやくがあるのに他の一方はそれがなくてとがったままで反り曲っている。
高原 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それは甘い液体で、花冠の底から滲み出して小さな翅のある虫共を誘ひ、それで柱頭の上のやくをゆするやうになつてゐる。此の花蜜が、蜂に入り用なものなのだ。
花中の花柱かちゅうは大きく三し、そのはし柱頭ちゅうとうがあり、その三岐片きへんの下には白色やく雄蕊ゆうずいを隠している。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
この花のおしべがばりのように彎曲わんきょくしてそのやくを花の奥のほうに向けていること
沓掛より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
雄蕋の頭についてゐる二つ重なつたやうな袋はやくと云ふのだ。そしてその袋の中にはいつてゐる粉は花粉と云ふのだ。丁子や百合や、其他大抵の植物の花粉は黄色だが、美人草ひなげしのは灰色を
花中かちゅうには四雄蕊ゆうずいがある。その長いやくは、葯胞やくほうへんがもとから上の方にき上がって、黄色の花粉を出している特状がある。このようなやくを、植物学上では片裂葯へんれつやくと称している。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)