華冑かちゅう)” の例文
しかしわたくしは維新後における華冑かちゅう家世かせいの事にくわしくないから、もし誤謬ごびゅうがあったら正してもらいたい。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
何と云っても華冑かちゅうの子弟を縁者に持つと云うことが内心うれしいに違いないので、もしこの話を貞之助が破談にして帰ったりすれば、落胆の程度は思いやられるのであった。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
華冑かちゅうの公子、三男ではあるが、伯爵の萩原が、ただ、一人の美しさのために、一代鐘を守るではないか——既に、この人を手籠てごめにして、牛の背に縄目の恥辱ちじょくを与えた諸君に
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
唐土の昔、咸寧かんねいの吏、韓伯かんはくが子なにがしと、王蘊おううんが子某と、劉耽りゅうたんが子某と、いずれ華冑かちゅうの公子等、相携えてきて、土地の神、蒋山しょうざんびょうに遊ぶ。廟中数婦人の像あり、白皙はくせきにして甚だ端正。
一景話題 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
でも、華冑かちゅうの子弟によくある型の、交際上手な、話の面白い、趣味の広い人で、自ら芸術家を以て任じている天成の呑気屋のんきやさんであるから、当人は一向そんなことを苦に病んでいない。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)