荷風かふう)” の例文
「いつか、クレヨン社に原稿を持ち込んで、あなたに荷風かふう猿真似さるまねだと言われて引下った男ですよ。お忘れですか?」
渡り鳥 (新字新仮名) / 太宰治(著)
なかでも夏のよいの別れの場面などは、遠い昔に読んだ荷風かふうの『六月の夜の夢』を思わず想い起させるほどの情趣に富んだものだが、まあそれはそうとして
チェーホフの短篇に就いて (新字新仮名) / 神西清(著)
亡くなった大貫と木村荘太とか藤村とうそん党で、よく藤村氏を代地の家に訪ねた。後藤は荷風かふう党で、永井君の小説を真似た。和辻は日本の「アンナ・カレニナ」を計画した。
芝、麻布 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
荷風かふうの問はず語りの書評。私は書けないから、佐々木基一君をわずらわすよう、すすめる。佐々木君は荷風に就ては私と似たような見解を持っていることを先日の手紙で知ったからだ。
私の知っているのでは、荷風かふう、芥川、辰野隆たつのゆたか氏など皆そうである。漱石も露骨な書き方はしていないが、相当に藤村を嫌っていたらしいことは「春」の批評をした言葉のはしはしにうかがうことが出来る。
文壇昔ばなし (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
永井荷風かふうの書くやうな
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
荷風かふう先生は?」
メフィスト (新字新仮名) / 小山清(著)
兄がいま尊敬している文人は、日本では荷風かふうと潤一郎らしい。それから、支那しなのエッセイストたちの作品を愛読している。あすは、呉清源ごせいげんが、この家へ兄を訪ねてやって来るという。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
きのう永井荷風かふうという日本の老大家の小説集を読んでいたら、その中に
三月三十日 (新字新仮名) / 太宰治(著)