花柳病かりゅうびょう)” の例文
グスは先月以来、酒を飲むと痛くて飛び上がる病気にかかって暮夜、ひそかに三村と呼ぶ花柳病かりゅうびょう専門の医者へ通っているところであった。
葛根湯 (新字新仮名) / 橘外男(著)
たちまち丹造の欲がふくれて、肺病特効薬のほか胃散、痔の薬、脚気かっけ良薬、花柳病かりゅうびょう特効薬、目薬など、あらゆる種類の薬の製造を思い立った。
勧善懲悪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
乱倫なる婚姻の行われるところにはいまわしき花柳病かりゅうびょうが多く、しかして花柳病ほどに人間の血を悪化するものは無い。
現代の婦人に告ぐ (新字新仮名) / 大隈重信(著)
肺病は勿論だが最も社会に害毒を流すものは花柳病かりゅうびょうでそれがために病的の子孫を生ずるのは一家の大不幸だ。その外に恐るべき遺伝病と伝染病は沢山ある。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
私は花柳病かりゅうびょうを専門として開業しましてから、二年目に妻を迎えました。私が二十五、妻が二十一でした。
暴風雨の夜 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
風眼というものは人も知るごとく花柳病かりゅうびょう黴菌ばいきんが眼の粘膜ねんまくおかす時に生ずるのであるから検校の意は、けだしこの乳母がある手段をもって彼女を失明させたことをふうするのである。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「彼は、花柳病かりゅうびょうをもってますよ。知ってますか。」
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
その結果は必ず怖るべき花柳病かりゅうびょうとなって現れるが、現在では英国の如きは、花柳病の最も少なきを以て称せられているけれども、これが果して永続出来るか否かが問題である。
婦人問題解決の急務 (新字新仮名) / 大隈重信(著)