芝公園しばこうえん)” の例文
伊東の家は官吏で、芝公園しばこうえんに住んでいた父親の出張がちな女ばかりの寂しい家に宝沢はたびたび遊びに来た。
暴風雨に終わった一日 (新字新仮名) / 松本泰(著)
もう一度はK社の主催でA派の歌人の歌集刊行記念会といったようなものを芝公園しばこうえんのレストーランで開いた時の事である。食卓で幹事の指名かなんかでテーブルスピーチがあった。
備忘録 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
二人の生活は、最初家を借りた赤坂あかさかから芝公園しばこうえんへ引越した後、更に移って東中野ひがしなかのへ落ちついた頃には、何も知らない人の目にはうらやましいほど平和に幸福に見られるようになっていた。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それを越してかすみせき日比谷ひびやまるうちを見晴す景色と、芝公園しばこうえんの森に対して品川湾しながわわんの一部と、また眼の下なる汐留しおどめ堀割ほりわりから引続いて、お浜御殿はまごてんの深い木立こだちと城門の白壁を望む景色とは
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)