自暴自棄やけくそ)” の例文
ガルールは一生懸命なだめにかかったが、饑渇きかつ自暴自棄やけくそになった九人の男は、そんな言葉を耳にもかけず、気色ばんでじりじりと詰め寄った。
奴さん自暴自棄やけくそになって、もと往ったことのある烏森からすもり待合まちあいへ往って、女を対手あいてにして酒を飲んでいたが、それも面白くないので、十二時ころになって自宅うちへ帰ったさ
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
つまり、このままで行けば自暴自棄やけくそになるといふのである。生活の目標がないことが悲しい。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
と水雷長のスティンゲル大尉なぞは半分自暴自棄やけくそ交じりのような楽観論を述べていた。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
それ以来自暴自棄やけくそになって、毎日のように喧嘩けんかばかりして歩いていたが、そのうちに慶応四年となって、鳥羽伏見の役が起り、板垣退助が土佐の藩兵を率いて東上した。
掠奪した短刀 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「そんなことをお聞きになるがものはありやしませんや! 誰がした彼がしたって……そんなことをなさるのは奥様に決まってまさあ!」とホセは自暴自棄やけくそ半分のようなせせら笑いをうかべた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)