自家おのれ)” の例文
もうかれとても自家おのれの運命の末がそろそろこわくなって来たに違いない。およそ自分の運命の末を恐がるその恐れほど惨痛さんつうのものがあろうか。
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
むごくもたもとを振払いて、再び自家おのれの苦悩にもだえつ。盲人めしいはこの一喝いっかつひしがれて、くびすくめ、肩をすぼめて
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やわかおくれじとあせれども、馬車はさながら月を負いたる自家おのれの影のごとく、一歩を進むるごとに一歩を進めて、追えども追えども先んじがたく、ようよう力衰え、息せまりて
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)