膳夫かしわで)” の例文
身屋むや贄殿にえどのの二つのすみには松明が燃えていた。一人の膳夫かしわでは松明のほのおの上で、鹿の骨をあぶりながら明日の運命を占っていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
よしやその部長たる高橋朝臣は真に大彦命の後であったとしても、その部下たる膳夫かしわで輩には、調理に長じた先住民の後の少からぬことを認めたい。
手長と足長:土蜘蛛研究 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
ことに日本武尊東征の際の膳夫かしわで七掬脛ななつかはぎだとある。八掬脛よりはやや短いが、これは百里に足らぬ九十九里浜の類で、やはり長髄彦の仲間として、足長族たることを示している。
手長と足長:土蜘蛛研究 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
しからば古えの膳夫には、往々にして手長・足長族の人が多かったと言わねばならぬ。大国主神国譲りの際に、水戸神みなとのかみの孫を膳夫かしわでとしたというのも、水に住む漁夫がこの役を勤めた習慣を示している。
手長と足長:土蜘蛛研究 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)