腹部はら)” の例文
立つたり蹲んだりしてるうちに、何がなしに腹部はらが脹つて来て、一二度軽く嘔吐を催すやうな気分にもなつた。早く帰つて寝よう、と幾度いくたびか思つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その女が黒い布でも冠って、そういう腹部はら露出むきだして、ムキ出しの脚で歩き廻ったとしたら、胴体がなくて巨大な顔から、足のつづいた化物ばけものとして、何んとよい見世物になることだろう!
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かすかかすかにその腹部はらの透いてつたはる美しさ。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
その眞白ましろなる腹部はらさかさま海面かいめんうかんだ。
腹部はらは立膝に隠くされていた。光もそこへは届かなかった。ダラリと垂れた左の腕には、光と陰影とのが付いていた。太くはあったが逞しくはなかった。グンニャリと力が抜けていた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
赤き腹部はらすり、また、消ゆる
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)