胡座こざ)” の例文
もしもこの時葉之助が、バッタリ地の上に倒れるか、ないしは胡座こざして大息を吐いたら、そのまま気絶したに相違ない。彼は十分働き過ぎていた。気息も筋肉も疲労つかれ切っていた。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「膝を崩したらどうです」東湖は大きく胡座こざし、自ら酌をしてぐいぐいと飲みだした、「今日はもう固苦しい話はやめだよ、それより世間話をしよう、あんたは校川さんのせがれさんだそうだね」
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
わけても正面敷皮の上に寛々と胡座こざした武士はひときわ威風四辺あたりを払って、一座の頭目と一眼で知れた。雪のように白い頤鬚あごひげを垂らし、頭髪を紫の茶筅ちゃせんに取り上げ茶の胴服をまとっていた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)