肉刺フォーク)” の例文
「まあ似たもんだ。君と僕の違ぐらいなところかな」と宗近君は肉刺フォークさかしまにして大きな切身を口へ突き込む。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
が、江戸ッ子のチャキチャキたる紅葉は泰然と澄ました顔をして、三人して食堂の卓を囲んだ。隣の卓では若い岡倉天心おかくらてんしんが外国人と相対さしむかいに肉刺フォークを動かしつつ巧みな英語をなめらかにあやつッていた。
我々があの人は肉刺フォークの持ちようも知らないとか、小刀ナイフの持ちようも心得ないとか何とか云って、他を批評して得意なのは、つまりは何でもない、ただ西洋人が我々より強いからである。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)