老役ふけやく)” の例文
鬼一のような老役ふけやくをつとめる者に困った結果であったらしいが、その押出しといい、台詞せりふまわしといい、実に立派な鬼一であった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ねえ法水さん、あれは他の老役ふけやくとは違いまして、貴方の好みから、沙翁の顔を引き写したので御座いましょう。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
亀井鉄骨は老役ふけやくを大専にした。相手を、始終、ねめつけるように据えた両方の眼が、かれを、敵役にもした。——皺枯れた、浪花ぶし語りのような調子の持主だった。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
ろばは敵役かたきやく老役ふけやくを引きうけた、新ちゃんは母親やお婆さんになった、若くてきれいで人気のある役は手塚が取ったが、ここに一番困ったのは若い娘にふんする女の子がないことである
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「さ、老役ふけやくには持ってこいだ。な、よろしくあやまってやれ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
晩年は浅草公園の宮戸座に出勤していたるが、以前は団菊の舞台に出勤して、老役ふけやくを得意としたり。
明治演劇年表 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)