“罅(か)” の例文
以て戦国に遠からぬ時代の人心に愬(うつた)へたる如き、概して言へば不自然(アンナチユラリズム)と過激(ヱンサシアズム)とは、この時代の演劇に罅(か)く可からざる要素なりしとぞ。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
ヒューと呻(うな)って、耳朶を掠(かす)めて行くのだ、無論荒ッぽい風に伴って来るのである、私はその風を避けて面を伏せようとして、岩の罅(か)け目に、高根薔薇(アルペン・ローズ)が、紅を潮(さ)して咲いているのを発見した
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
おもむろに庭樹を瞰(なが)めて奇句を吐かんとするものは此家の老畸人、剣を撫(なで)し時事を慨(うれ)ふるものは蒼海、天を仰ぎ流星を数ふるものは我れ、この三箇(みたり)一室に同臥同起して、玉兎(ぎよくと)幾度(いくたび)か罅(か)け
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)