ひもど)” の例文
……戦争がその背後に在る国民の心を如何に虚無的にし、無道徳にし、つ邪悪にするかという事実は、吾が独逸の国民史をひもどいてみても直ぐにわかる事である。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
されば、気高いと申しても、天人神女てんにんしんにょおもかげではのうて、姫路ひめじのお天守てんしゅはかまで燈台の下に何やら書をひもどく、それ露がしたたるように婀娜あでなと言うて、水道の水で洗い髪ではござらぬ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
梓は幾ほどもなく仏文の手紙を得て、この隠家かくれがを出て、再び寄宿舎の卓子テイブルにバイロンの詩集をひもどいて粛然とする身になったが、もとより可懐なつかしい天神下はますます床しいものと成りまさったのである。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
銀杏の根本でひもどいた、不思議な書物の中にある
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
医学の歴史をひもどけばわかる……。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)