縞絹しまぎぬ)” の例文
ことさらにあとへ退さがったのではない、もう二三尺と思いつつ、お誓の、草がくれに、いつもその半身、縞絹しまぎぬに黒髪した遁水にげみずのごとき姿を追ったからである。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
みつは、初めて乘つた汽動車といふものゝ惡いにほひに顏をしかめて、縞絹しまぎぬのハンケチで鼻をおほふてゐたが、この時やうやう言つて、其の小じんまりとした、ツンと高い鼻を見せた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)