縊死くびくくり)” の例文
「凶事がある前兆しらせじゃよ、昨夜ゆうべは夢見が悪かった。早速護摩ごまでもかせねばお邸から縊死くびくくりを出してどうするものじゃ。」と令夫人おくさまは大きに担ぐ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
縊死くびくくりが楽だというけれどというので、いやですわ、はなを出すのがあるといいますもの、水へはいるのが形骸かたちを残さないで一番好いと思うと言いますと、そうかしら、薬をむのは苦しいそうだね。
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
貴下あなたはお邸の方かな。松の木に縊死くびくくりがあるで。」と巡査にわれてまた驚き、婆々ばばあの死骸を見て三度吃驚びっくり「やれ首をくくった、松の木が。」とあわただしく触込んだり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)