緊乎しっか)” の例文
あわれ、高坂が緊乎しっかめた手はいたずらに茎をつかんで、たもとは空に、美女ヶ原は咲満さきみちたまま、ゆらゆらと前へ出たように覚えて、人の姿は遠くなった。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
途端にくゎいと狐が鳴いたから、娘は緊乎しっかと私を抱く。その胸にひたいを当てて、私は我知らず、わっと泣いた。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仰向けに胸へ緊乎しっかと手を組んで、両眼りょうがん押睡おしつむって、気を鎮めようとしたのです。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
親父は、そのまま緊乎しっかと抱いて
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)