結髪けっぱつ)” の例文
旧字:結髮
然らばフェノロサがこの穿鑿せんさくに関して最も主要なる手掛てがかりとなせしものは何ぞや。そは唯画中の人物を見てその結髪けっぱつの形状によりしのみ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それらの悪鬼は皆、結髪けっぱつのうしろに、黄色のきれをかりているのだ。黄巾賊の名は、そこから起ったものである。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もって冥加金を着服し、私腹を肥やす一方においては、せせこましき故意わざとらしき倹約令を出し、足袋たびのこと、ふんどしのこと、結髪けっぱつのこと、それらのことにまで干渉し、贅を尽くさば重き処刑
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
六尺豊かの筋骨たくましい鬚男ひげおとこで、髪は結髪けっぱつにした上から、手拭で頬かむりをし、眼先なかなかものすごく、小刀を前半まえはんにし、大刀を後ろの柳の木へ、戸板を結びつけたしきりへ立てかけて置いて
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その人物は製作の年代に従ひ結髪けっぱつに多少の差を見るといへどもいづれのにおいても常に同一の容貌をなし
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
大盥おおだらいを抱えて来て、湯を運び「入浴しろ」とすすめるのである。あげくに理髪師がやって来て、きれいに結髪けっぱつし、肌着、袍衣うわぎまですっかり新調の物とかえて行った。いよいよ彼にはわけが分らない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)