細面ほそおも)” の例文
鼻筋はなすぢ象牙彫ざうげぼりのやうにつんとしたのがなんへば強過つよすぎる……かはりには恍惚うつとりと、なに物思ものおもてい仰向あをむいた、細面ほそおも引緊ひきしまつて
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
というのは、堤軍次という浪人者、三十二、三の妙に人摺れのした薄肉の細面ほそおもに、相手をいら立たせずに措かないと言った、皮肉な微笑を浮べて、左馬之助を仰ぐのでした。
野暮くさい束髪頭の黒羅紗くろラシャのコオトにくるまって、天鵞絨ビロードの肩掛けをした、四十二三のでぶでぶした婦人のあから顔が照らし出されていたが、細面ほそおもの、ちょっときりりとした顔立ちの洋服の紳士が
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)