紛紜ふんぬん)” の例文
事緒じしょ紛紜ふんぬん物論ぶつろん喋々ちょうちょう、また文事をかえりみるにいとまあらず。ああ、これ、革命の世にのがるべからざるの事変なるべきのみ。
中元祝酒の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
三次が眼をみはると後の四人も、加留多カルタ紛紜ふんぬんを忘れて、しばらくはこの一りん馥郁ふくいくさに疲れた瞳を吸われている。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分ニハ実力ガナイ代リニ、美女ヲ美男ニけしかケテ、家庭ニ紛紜ふんぬんヲ起サセテ、ソレヲ楽シムコトハ出来ル。………
瘋癲老人日記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
このことばをしてもし平生にあらしめば必ず一条の紛紜ふんぬんき起こすに相違なきも、病者に対して看護の地位に立てる者はなんらのこともこれを不問に帰せざるべからず。
外科室 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
壮士間に紛紜ふんぬんを生じ、渡航をこばむの壮士もある様子ゆえ、儂は憂慮に堪えず、彼らに向かい、間接に公私の区別を説きしも、悲しいかな、公私を顧みるのおもんばかりなく、許容せざるを以て
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
民権論者と政府との不和は、あたかも一流中の内乱にして、これがため事情の紛紜ふんぬんをいたし、ついには守旧と改進との分界も分明ならざるの禍を招くべし。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)