粗暴そぼう)” の例文
『数右衛門ではめずらしくない事だ。……源吾。そちにも、云い含めておいたはずではないか。ちと、あの粗暴そぼうめ直すようにせいと』
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほどそこまでは気がつかなかった。山嵐は粗暴そぼうなようだが、おれより智慧ちえのある男だと感心した。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鵙屋もずやの夫婦は娘春琴が失明以来だんだん意地悪になるのに加えて稽古が始まってから粗暴そぼう振舞ふるまいさえするようになったのを少からず案じていたらしいまことに娘が佐助という相手を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
現実に住み飽きてしまったり、現実の粗暴そぼう野卑やひ愛憎あいぞうをつかしたり、あまりに精神の肌質きめのこまかいため、現実から追い捲くられたりした生きものであって、死ぬには、まだ生命力があり過ぎる。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
一人のやっぱり技師らしい男がずいぶん粗暴そぼうな態度で壇にのぼりました。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
が、彼女のやり方だけは、鉄火てっか粗暴そぼうなものであった。
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)