籠中ろうちゅう)” の例文
それ野禽やきんを林園に馴れ養わんと欲せばまずこれを籠中ろうちゅうに収めざるべからず。籠中は決して野禽目的の地にあらざるなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
拝啓、小生は小鳥類を餌養じようし、籠中ろうちゅうに運動し、余念なく時節につれて囀啼てんていするを見聞し、無上の快事といたしおりそうろう
妖怪報告 (新字新仮名) / 井上円了(著)
ことに秀吉の軍略に先手先手と斬捲きりまくられて、小田原の孤城に退嬰たいえいするを余儀なくされてしまって居る上は、籠中ろうちゅうの禽、釜中ふちゅうの魚となって居るので、遅かれ速かれどころでは無い
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
驚き見る間に羽ばたき高く、琵琶は籠中ろうちゅうを逸し去れり。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)