篆文てんぶん)” の例文
袖をかかげ右手を累蛇の中に入れたるにひじを没せしが、やや探りて篆文てんぶんの元祐通宝銭一文を得、蛇は散じて行方知れずと。
この一冊は表紙に「㦣語、抽斎述」の五字が篆文てんぶんで題してあって、首尾すべて抽斎の自筆である。徳富蘇峰とくとみそほうさんの蔵本になっているのを、わたくしは借覧した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
芝の字はもとは之の字であって、これは篆文てんぶんに草が地上に生ずる形に象っての字である。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
金色こんじき燦爛さんらんとして、印面には、八字の篆文てんぶんこくしてある。すなわちこう読まれた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)