笹鳴ささな)” の例文
何といったらいいのか、うぐいす笹鳴ささなきみたいな美しさだ、とでもいったら君はわかってくれるであろうか。つまり、「かるみ」さ。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
と——不意に静かに、夕風をうごかして、笹鳴ささなりの音か、水の響きかとばかり、あたりへ鳴ってひろがったのは呼子よびこの笛——。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たかしは掃除をすました部屋の窓を明け放ち、とうの寝椅子に休んでいた。と、ジュッジュッという啼き声がしてかなむぐらの垣の蔭に笹鳴ささなきのうぐいすが見え隠れするのが見えた。
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
あたりのやぶ笹鳴ささなきの声がさびしく、山屋敷の塀越しに、紅梅の花が黒く見えます。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)