笠間かさま)” の例文
枕山は筑波山を下って真壁まかべより更に加波雨曳かばあまびきの諸山をえて笠間かさまの城下に赴いた。笠間の城主はこの時牧野角五郎貞勝さだのりである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
石焼の方は、肥前ひぜんの影響多く、後者は相馬そうま笠間かさまの系統だという。この土焼の方は主として雑器であるから格が一段と下るものと見做みなされている。
現在の日本民窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
この上水井戸は、藩祖はんそ長直公ながなおこうが、常陸ひたち笠間かさまからお国替くにがえになった折に、領民のため、こうして城下の辻々に掘っておかれた有難い恩水なのじゃ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何うもこりゃア水戸みと笠間かさま辺までもあらすから助けて置いては成らぬと云うので、城中の者が評議をした、ところが何うも八州は役に立たぬから早川様が押えようという事になって
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
野々市ののいち松任まっとう笠間かさま手取川てとりがわ——と各地の、のろし山からのろし山へ、音響の駅伝えきでんとなって、轟音がうけつがれ、つかのまに、非常事ありの警報が
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
稲荷神社で有名な笠間かさまは、窯場のある所であります。筑波つくば山を真近くに見ます。昔から雑器を焼きましたが、徳利とっくり蓋附壺ふたつきつぼなどに見るべきものがあります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)