竹葉ちくよう)” の例文
そうして十年たった明治二十八年の夏に再び単身で上京して銀座ぎんざ尾張町おわりちょう竹葉ちくようの隣のI家の二階に一月ばかりやっかいになっていた。
銀座アルプス (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「ハハハハそうなっちゃあかなわない。時に伯父さんどうです。久し振りで東京のうなぎでも食っちゃあ。竹葉ちくようでもおごりましょう。これから電車で行くとすぐです」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
新富町しんとみちょうの焼けた竹葉ちくようの本店にはふすまから袋戸ふくろど扁額へんがくまでも寒月ずくめの寒月のというのが出来た位である。
天プラは橋喜はしぜん天金てんきん、鰻は神田川、竹葉ちくよう、大黒屋、蕎麦そばは団子坂の藪に麻布の更科さらしなに池の端の蓮玉庵れんぎょくあん、といった頃で、親がかりで小遣に不自由の無い私は、毎日毎日うまいもの屋をあさ
その頃、二人は新富町の竹葉ちくようへたびたび鰻を食いに行ったことを覚えている。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)